「和泉市の歴史」は全9巻で、地域叙述編5巻・テーマ叙述編3巻・通史編1巻から構成されます。市民の方がたが親しみやすい本づくりをすることをこころがけています。
市史を通じて和泉市の歴史や文化財に関心をもっていただき、地域の歴史に対する認識を深め、これからのゆたかな生活と町づくりの助けとなれば幸いです。
「和泉市の歴史」では、市域を横山谷・松尾谷・池田谷・信太山地域・府中周辺の5つの地域にわけ、それぞれの地域ごとに歴史を描いていくという、非常にユニークな形式をとっています。和泉市域には槇尾川・松尾川というふたつの川が流れ、それぞれの流域で池田谷、松尾谷という谷地域を形成しています。市域南部の横山谷はゆたかな緑に囲まれた山間地域、北部の信太山周辺地域や平野部の府中周辺地域は都市的環境が広がっています。地理的自然的環境が異なるということは、そこに暮らす人びとが築いてきた生活の歴史も異なります。
わたしたちは、地域の人々がどのように生活を築き、発展させてきたのかに視点をおいて地域の歴史の調査・研究をすすめていますが、そうした視点からの調査にもとづいた「和泉市の歴史」をつくるには、やはり地域ごとに分けて本を編さんする必要があると考えます。
しかし、実際には地域内で完結しないことがらもあります。地域をこえて考える必要がある問題を扱うのがこのテーマ編叙述です。Ⅰ考古・古代・中世、Ⅱ近世、Ⅲ近現代と、時代順の3巻構成で、それぞれの時代における市域の歴史像を明らかにすることを目指しています。
地域叙述編を経(たていと)に、テーマ叙述編を緯(よこいと)に織り上げてゆく「和泉市の歴史」。和泉市域全体の歴史の流れがわかる、凝縮版「和泉市の歴史」を通史編として刊行します。
市役所文化財振興課窓口、いずみの国歴史館、信太の森ふるさと館、久保惣記念美術館などで直接お買い求めいただくか、インターネット、各書店からもご注文いただけます。
第1巻地域叙述編横山「横山と槙尾山の歴史」
対象地域は横山谷(現槇尾山、南面利、善正、福瀬、岡、九鬼、北田中、下宮、小野田、坪井、仏並、大野、父鬼町)。槇尾山施福寺の歴史を基軸として横山地域の歴史をえがいています。
第2巻地域叙述編松尾「松尾谷の歴史と松尾寺」
対象地域は松尾谷(寺田、箕形、現唐国、内田、松尾寺、春木、久井、若樫、春木川町)。松尾寺の歴史をひとつの軸に、また山と関係を取り結ぶ人びとの生活をもうひとつの軸として松尾寺と周辺村むらの歴史を追います。
第3巻地域叙述編池田「池田谷の歴史と開発」
対象地域は槇尾川中流域の池田谷(現阪本、東阪本、伏屋、池田下、室堂、和田、三林、万町、浦田、納花、黒石、平井、国分町)。地域の村むらの歴史を、山の開発と水の利用の在り方を基軸にみていきます。また池田下を例として、ひとつの村落の在り方を深く追究し、通時代的に展望します。
第4巻地域叙述編信太「信太山地域の歴史と生活」
対象地域は信太山丘陵とその周辺の村むら(現葛の葉、富秋、池上、舞、上、太、尾井、幸、鶴山台、王子、伯太、小野、黒鳥町)。信太山丘陵の多様な用益のあり方が、周辺の村むらの関係に影響をおよぼしていく様子をえがくことで、この地域の歴史の特徴をうきぼりにしています。
第6巻テーマ叙述編Ⅰ「和泉市の考古・古代・中世」
19のテーマと3つのコラムを収録。和泉国の中心としての歴史を歩んだ古代から中世における市域の時代像に迫っていきます。
第7巻テーマ叙述編Ⅱ「和泉市の近世」
江戸時代の市域はどのような姿だったのか。空間的なひろがり、支配のしくみ、産業、流通、宗教など、様々な視点からひもときます。
第8巻テーマ叙述編Ⅲ「和泉市の近現代」
明治維新から現代までの市域の歴史をえがいています。神社・学校・織物などのテーマのほか、阪和電鉄や草相撲などについてのコラムも収めています。